空翔けるオオタカに感動!

虔十の会(ケンジュウノカイ)

2006年01月31日 14:53

 1月28日、八王子在住の諏訪流14代目鷹匠(すごい歴史ですね)が、若手の認定試験を行なうためオオタカの訓練をやるとの情報を「八王子城とオオタカを守る会」のオオタカおじさん小池氏からゲット!場所は八王子と昭島市の境界にある滝ヶ原野球場。



 野生のオオタカはめったに遭遇できない。すごく神経質な鳥なので、わたしも何度かは見ているがいつも遠距離から。それが、目と鼻の先で見れるんだから行くしかない!それに鷹匠の技も気になるじゃないですか。中央線の人身事故で到着が遅れたけれど幸い始まったばかりでホッ。おっ、オオタカが目前に…やっぱりかっこいい!それに会場に響き渡るオオタカの声に「えっ?これオオタカの声?以外とかわいいッ」と色めきたつ。本当にちょっと甲高くて一生懸命鳴いている子ネコの声みたいと言えばいいのかな??二ャーではなくミィィィ!ッって感じ。



 鷹匠候補の試験生が腕をグッと突き出すと、オオタカはスーッと飛び立ち、彼方にある樹の枝にとまる。オオタカは止まり木を決めているそうだ。あんな遠くから見えるのかなぁと思いきや、笛で呼ぶとオオタカは止まり木から滑空し、地面スレスレに飛びながら鷹匠の腕の手前でフワッと上昇し見事に腕に止まる。う、うらやましい!やってみたい…



 やはり見ものは狩りの訓練。生きた鳩を地面に置いても、空中に放り投げても見事にオオタカは狩る。このとき、獲物は人間のものにしなきゃいけないので オオタカと人間の知恵比べになる。鳩を捕まえるとまずオオタカは羽をビシビシむしる。こ のときに鳩の心臓を食べさせてやるそうだ。夢中で食べている隙に鷹匠は、鳩をエサにすっと入れ替える。これが見事!オオタカに気付かれると、オオタカは獲物を人間に奪われることを覚え、戻ってこなくなるそうだ。



 鳩の頭を爪でグッと押さえ込み、鳩の肉をむさぼるオオタカに感動!残酷と思う人もいるかもしれないけど、わたしはそうは感じなかった。生きとし生けるもの はみな、他の命を自分の中に取り込んでるんだなぁと実感する。そういう時の姿って美しいと思った。みんなも「うーん、かっこいいい!」を連発。鷹匠は、オオタカを飼いならすわけだが、野生を失わせてはならないという微妙なバランスの上に鷹狩りは成り立っている。人間が野生を利用して狩りをするわけだから、人間の方がオオタカの習性に合わさなくてはならない。人間の腕は止まり木のように安定していなくてはならないし(昔は腕に水を入れた湯のみを置いてこぼれないように歩く練習をしたそうだ)、餌も野生の味をわすれさせないために鶏肉は絶対あげないそうだ。



 長い歴史の中で培われてきた人間の技と自然の関係のひとつのありようなんだなぁと感心。今は鷹狩が実際に行なわれるわけではなく、人に見せるための実演が中心。オオタカも日本ではレッドデーターブックに載せられていて、野生のオオタカを捕まえるのは犯罪行為だ。だからここにいるのもフィンランドのオオタカ。鷹匠の技はわたしたちに、日本における人間と自然のかかわり方について考えさせてくれる気がする。考えさせられるというか、何か思い出させてくれるといった方がいいかも。オオタカの野生を熟知し、一羽ごとに違う性格を把握しなければ成り立たない。渋い、渋い世界でした…



   試験は無事終了し、2名ともみごとに合格。その後は放鷹協会の方たちが自慢の鳥たちを腕にのせて次々登場し、雉や鳩を使って狩りの訓練を開始。オオタカだけではなく、ハヤブサやノスリ、ハリスホークなどが間近で見れちゃった。オオタカも1年くらいの幼鳥までいる。オオタカの成鳥は胸が横縞模様で、羽は青みがかったグレー、幼鳥は胸の縞は縦で羽は茶色だし、心持ち顔も可愛げでまったく違うこともしっかり覚えられた。



 狩りで感動したのはハヤブサ!これはすごかったぁー!早いものをハヤブサのようなって言うけど、ホントにホントに早い。オオタカとは全くことなる狩りをする。オオタカは、止まり木に止まって獲物を見つけ、低空飛行で捕る。ハヤブサは空中を旋回しながら獲物を見つけ急降下して獲物を押さえ込む。その急降下の早さったら、絶句!あまりに一瞬なのでみんな「今の見えた?」と顔を見合わせてあ然。



 いろんな鳥を間近に見ながら、質問したりしている間に、なんと野生のハヤブサが気になるのか会場の上空を旋回。野生のハヤブサはめずらしいとみな大騒ぎ。この辺の山々にはハヤブサまでいるんだなー



 オオタカは生態系の頂点に位置する鳥。オオタカが何羽営巣し、何羽巣立つかはその一帯の自然環境が健全かどうかのバロメーター。高尾山・八王子城周辺は、近年まで一組のオオタカのつがいが4羽も巣立ちさせることができる優秀な環境だった。でも圏央道の工事が始まってからは、一羽へり、二羽へり、ついに2年前からは営巣を放棄してしまった。にもかかわらず、国交省はオオタカ調査委員会なんて名前のものを作りながら、影響はないと言い続けてる。信じられない!子供でもわかる算数だよぉー



 今すぐ、工事をいったん中止して、オオタカへの影響調査をまじめにやって欲しい。



 4月になるとオオタカの羽が生え変わるため訓練はできなくなる。それまでにまた実演訓 練があったら、未体験の方にはぜひおすすめです。オオタカを守ろうって言ってるんだから一度くらいはみておいた方が絶対良いって!



 あー、すっかり魅せられてしまった。鷹匠に弟子入りしたくなっちゃった。すぐその気になっちゃうなと我ながらあきれてますが、女性もいましたよ。でも鷹を飼える環境に住んでいる事と餌代を稼げる経済力が必要だ…う~ん



                                                         <サカタ>








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